2013年、コーヒースタンド親戚。

コーヒーカルチャーの新時代、到来。

「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」フランスの政治家タレーラン・ペリゴールの残した名言である。“よいコーヒー”はたった一杯で至福の時間へシフトさせてくれるもはや我々にとって欠かせない飲み物。スターバックスなどのコーヒーショップはいまや街中に溢れ、いつでもすぐにコーヒーを飲める環境が整っている。
 そんなコーヒーに、いま、あらたなる進化が起きている。コーヒースタンド。ショップではなく、“スタンド”が、急増しているのだ。立ち飲みやテイクアウトなどをメインとした、個人オーナーによるミニマムな店内と経営業態。アパレルショップやイベントスペースの一角に、カウンターだけを設置している店舗もある。
 それぞれのコーヒースタンドに共通しているのは、最高品質のスペシャルティーコーヒーを取り扱う店舗が多く、一杯の「質」に極めてこだわりをもっている点だ。豆、焙煎、ドリップ方法、パッケージへの深いアプローチが顕著にあらわれている。
 立ち並ぶシアトル系コーヒーショップや、マスターがいれる純喫茶店。それらと、今急増しているコーヒースタンドとの大きな違いは、対価として支払う矛先が「空間」ではなく「質」であるということ。コーヒーを味わう空間を提供するのではなく、一杯の質に対しての、勝負なのである。
 そして、ミニマムであるがゆえにコンセプトやこだわりの輪郭がくっきりと浮き出ているということ。最短距離で伝わること。たとえば、持ち歩くのがステイタスになるようなカップのデザイン。美味しさの背景にある確かな要素とともに、ファッションカルチャーとしての地位も確保しつつある。
 このようなこだわりの凝縮こそが、時代のカルチャーとして受け入れられ、愛される所以ではなかろうか。今の空気感を吸い込んでふくらむコーヒーの新時代は、こうして幕をあけた。

意外と知らない、奥深きコーヒーの作用。

そもそも、コーヒーにはどのような作用があるかご存知だろうか。
カフェインとポリフェノールが含まれていることは、広く知られているだろう。カフェインは、眠気覚ましなどの興奮作用や利尿作用などをもたらすほか、自律神経の働きを高めたり、運動能力を向上させたりなど、様々な効果が明らかになっている。
 さらに、近年コーヒーが病気の予防にも効果的だというデータもあるのだ。カフェインの摂取が糖尿病に役立つと考えられており、コーヒーを飲むことで改善に寄与できるといわれている。また、コーヒーを飲むと発症リスクを低下させられると報告されているのが大腸ガン、直腸ガンなどである。クロロゲン酸などのポリフェノールがもつ抗酸化作用が寄与しているのではないか、と注目を集めている。※1一杯のコーヒーがもたらすさまざまな効果。身体的なことだけでなく、精神的な面にもそれは作用する。コーヒーの香りを嗅ぐと、なんと、ひとは優しくなれるという驚きの実験結果を米レンセラー工科大学のバロン博士が発表している。※2
 じつは、仕事中当たり前に飲んでいるコーヒーは、心を落ち着かせリラックスさせたり、相手を気遣う余裕が生まれたりと、よい働きをしてくれるというわけだ。仕事とコーヒーの相性は、いわずもがなである。
 仕事におけるコーヒーの飲み方も、シーンに合わせて自由にカスタマイズしてみてはいかがだろう。しゃきっとしたい午前中の打ち合わせは、ブラックで。プレゼンが終わってほっと一息つきたいときは、フォームたっぷりのラテで。コーヒーの楽しみ方の幅がもっと広がるはず。

東京ニューワーキングスタイルのすすめ。

仕事中、コーヒーを飲む時間をもつというブレイクの仕方。思考と思考のあいだをコーヒーの香りで満たすことで、疲れた頭と心をいったんリセットすることができる。スイッチの切り替えを行う、ひとつのしるしのように。
 その際コーヒースタンドを利用するのが、ニュースタイルになりつつある。一杯の美味しいコーヒーとともに、ひと息いれることのできる時間の余白も、テイクアウトする。仕事のパフォーマンスの向上にもつながっていく。一杯のコーヒーは、ライフスタイルを充実させるアイテムである。忙しい中でも豊かな時間は、つくれる。そんなことを知るツールでもあるのだと思う。
 仕事中はもちろん、朝の通勤時や仕事終わりの帰路、気軽に立ち寄れる距離感は、東京ワーカーにとって強い味方。この機会にコーヒースタンドが近くにあるオフィス探しなんて視点もいいかもしれない。
 また、スタンドを利用せずともオフィス内でコーヒーを淹れる時、豆の選び方、淹れ方にひと手間かけるだけで、より贅沢な一杯を味わうことができる。そしてその美味しさをシェアする時間が、社員同士の気軽なコミュニケーションにつながっていく。オフィス内でも、コーヒーにこだわってみてはいかがだろうか。

Obscure Laboratory
三軒茶屋の茶沢通りに面するスペシャルティコーヒー専門店。焙煎、パッケージ、抽出など、コーヒーに関わるすべての工程を間近で見ることができるlive place。エスプレッソの豆や焙煎を随時変え、その都度最高級の一杯を提供している。コーヒーの楽しみ方を広めるべく、ワークショップなども開催。
STREAMER
オーナーは2008年に開催された「フリーポア ラテアート チャンピオンシップ」のアジア人初の世界チャンピオン。渋谷と原宿に構える店内は、エスプレッソを抽出するところからフリーハンドで描くラテアートのライブ感がダイレクトに伝わるようフルオープン仕様に。きめ細かいフォームと濃厚なエスプレッソが織りなすラテアートを楽しめるストリーマーラテ520円が人気。
Little Nap
エスプレッソドリンクだけでなく、アイスクリームもあるところがLittle Napならでは。両親はエスプレッソ、子どもはアイスクリーム。そんな家族のシーンも時折見える、代々木公園沿いのミニマムな店舗。音楽好きなオーナーがセレクトするBGMに耳を傾けながら、一杯どうぞ。原宿にあるアートスペースVacantの1Fにも姉妹店がオープンした。

BE A GOOD NEIGHBOR
毎日の暮らしの中で住人と交わす挨拶や、微笑み。善き隣人となるには難しい。店名にもなっている「善き隣人」として、千駄ヶ谷の街で愛されているコーヒーキオスク。昨年、東京スカイツリータウンソラマチ内のUNITED ARROWS BEAUTY&YOUTHの一角に新店舗をオープン。
BEAR POND ESPRESSO
バリスタとしてマンハッタンで活躍し、2008年のニューヨーク・タイムスで「洗練された味覚を持つ男」として紹介された経歴をもつオーナー。2009年下北沢にニューヨークスタイルのコーヒースタンドを立ち上げた。渋谷 宮下公園近くにあるON THE COURNER NO.8 BEAR PONDでも濃厚な風味良いエスプレッソを味わうことができる。
SHOZO COFFEE
表参道、青山通り沿いにあるコミュニティー型マーケット「246COMMON」にオープンした、那須・黒磯「SHOZO CAFE」の新店舗となる「SHOZO COFFEE」。焼き菓子と淹れたてのドリップコーヒー。木のぬくもりが感じられるこじんまりとしたウッド調の小屋の中は、森の時間が流れているよう。

FUGLEN (フーレン)
北欧ノルウェーにあるコーヒーバー「FUGLEN」の2号店として東京代々木に昨年オープンしたばかり。1963年に創業、今回海外初出店となる。目の前に広がる緑を眺めながら、エアロプレスで淹れた酸味が心地よい本場ノルウェーのコーヒーを楽しむことができる。店内はすべてヴィンテージの家具で統一されており、購入も可能。
表参道コーヒー
表参道の小さな古民家で始めたテイクアウト専門店。京都の老舗「小川コーヒー」の国内焙煎豆を使用。苦みと酸味が心地よいしっかりしたボディによく合う「コーヒー菓子」も一緒に楽しめる。昨年9月UNITED ARROWS京都店の1Fにも、ショップインショップとしてオープンした。