EDIT
国際的にもビジネスや繁華の街として有名な六本木・西麻布エリア。周囲には高級レジデンスや大使館も多く、街を歩けば様々な国の人が交わり、軒を連ねるカフェやショップの風景も、どこか異国の文化がミックスされた面白い町並みだ。賑やかな六本木通りから1本入った、比較的静かな場所に建つ今回の物件。石造りの重厚なファザードと、「B」という謎の看板が目印の1棟の建物だ。
元は音楽スタジオ兼自社オフィスとして使われていた建物。その為か、地下を含む4層の空間は、それぞれバラエティーにとんだラインナップとなっている。まずは贅沢に開けた玄関ホール脇から地下へ潜ると、5Mほどの大空間が広がっている。一部メゾネットになっており、上にブースでも置けばちょっとしたライブ会場にもなりそうな空間だ。こんな空間でランダムに机を並べて働いてもいいし、ちょっとした社員食堂のような使い方もあるのかもしれない。思い切ってゴージャスなシャンデリアなんか吊るしても様になりそうだ。1階部分はこの建物の中では一番ベーシックな空間。道を歩けば自然と中の様子が目に入ってくる部屋でもあるので、会社の顔として一番力を入れるべき空間と言える。例えば白いスケルトン風の天井で開放的に、無垢フローリングで柔らかく質感を与え、既存の木色の家具で空間を引き締めるような、シンプルにバランスの取れた良い空間に変わりそうだ。4つの防音室がメインの2階部分。こちらは打ち合わせルームとして使うのも良し。好きな音楽をガンガンで仕事しても良し。カラオケでも配備しちゃえば、仕事終わりにみんなで馬鹿騒ぎも出来る。最上階の3階部分は、屋根の形をそのまま表した、まるで傘でもさしているような天井。放射状に設置された蛍光灯がとても印象的だ。天井が高いので開放的に感じる。さらに片面は鏡貼りとなっているので、より奥行きのような錯覚も感じられる。それぞれの部屋が個性を放ち、まとまりもなく、おもちゃ箱のような建物だ。謎の看板の文字のように、まだまだ未完成なBといえる物件だが、ピカピカのAの物件ではなく、あえてBを選ぶというのもクリエイティブ心を刺激して面白い。この建物を、あなたの創造力でA(エース)に変えてみてはどうだろう。
EDITOR’S EYE
音楽関係のスタジオ兼オフィスにはもってこいの物件だが、もちろんどのような業種でも使い方一つで面白い自社ビルになると思う。例えば一つの大事なプロジェクトとして、自分たちのオフィスを造るというのも良いかもしれない。なんの気持ちもこもっていない完成されたオフィスで働くより、創造を膨らませ、実際に自分たちの力で造った空間で働くのは気持ち良さそうだ。