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神宮前交差点からほんの数分。交差点周辺は、四方に広がる賑わい高いエリアだが、ある一画は元々の街並からか少し落ち着いた雰囲気を維持している。この物件は、室内から交差点周辺の建物を望めることが出来る距離にありながら、ちょっとゆったりとした時間が流れている空間だった。
建物自体は約築45年。風体からも積み重ねてきた年月が読み取れる。ご近所のコープオリンピアとはちょっと違うが、なかなか時代を感じる建物だ。今でこそオフィスやSOHOの利用もあるが、元々は住宅であるため、エントランスから区画へのアプローチはそんな雰囲気が強く残っている。
室内は完全スケルトン。昔の建物らしく、コンクリートの荒さも目立つところは多い。ただ、元々2つの区画をまとめたこの空間は、開口部が広くとられており、その先には長いバルコニーが続くなど、なかなかのロケーションパフォーマンスを発揮させている。広く纏まった空間と、入口部分にその面影が残る元水回りのエリア。少々入り組んでコンクリートブロックが剥き出しなっていたりと、その辺りの荒々しさはカッコよくもみえる。きっちり空間を作り込むというのもいいが、現状を上手く利用して、最低限の設備で成立させるのも面白いだろう。良くオーダーのある、「倉庫をオフィスにしたい」という方は、ちょっと検討してみてほしい物件だ。イメージしているザ倉庫の空間と比べると、天井高は3m弱と物足りないかもしれないが、都心でリアルな倉庫物件を探す事自体が難しいため、こういった空間を上手く活用してみてほしい。
床を足場材等で仕上げ、壁天井はこのまま。照明は天井にダクトレールを這わせて、好きなところでスポットライトや、ペンダントライトをつけてみる。そこらの倉庫よりよっぽど荒々しいハードボイルドな空間は出来るだろう。空調やトイレ、というところは現実的に設備を整えないといけないが、実際の倉庫よりは、熱効率や設置労力を含め、大分楽なものになると思う。
ここは、東京でも指折りの賑やかな神宮前交差点。そこからほんの1、2分にオリジナルの倉庫の様な事務所がある事自体が、なかなか面白い。
EDITOR’S EYE
見た目のハードルは少々高いが、賃料は相場よりも安いので、上手く活用のイメージがつなげられたら十分掘り出し物といえる物件。立地と、賃料と、空間そのもの。いずれも意外性を秘めた良い物件だ。