EDIT
都内屈指の高級且つ閑静な住宅地の代々木上原エリア。周囲には隠れ家レストランや小洒落たカフェなどが点在し、アパレル事務所やデザイン会社など、感度の鋭いオフィスも多く集まる。今回紹介する物件は、代々木上原駅から数分ほど歩いた通り沿いに面し、大きなガラス面が特徴的な1棟の建物。住宅色の濃いエリアに建つ為か、周囲では少し異色なエッジの尖った風貌の建物だ。
元々輸入家具のショールーム兼用の事務所として使われていたというこの建物。室内は地下を含め4層に分かれており、1階と地下の空間は、入口を入るとすぐにある洋風の木製階段によって結ばれている。味わいある木の手すりもさることながら、取り付けられた大きな鏡や照明がなかなかいい雰囲気をかもしだしている。少々残念なのが、現在張られているロックテイストの床。例えばこれを味わいのある無垢のフローリンングや、ヘリンボーンのように、木で柄を付けた仕上げにしたらどうか。より空間として良くなり、ショールームのような人を招き入れる空間も想像し易くなるだろう。2階・3階は、室内奥に隠された赤い絨毯張りの螺旋階段によって結ばれている。2階はこの物件で一番面積を確保しているワンルーム空間。大きなガラス面によって切り取られる日常的な外の景色が、日々のデスクワークで疲れた心をどこか落ち着かせてくれそうだ。上下のアクセスやボリュームとして、この部屋は今後ワークスペースの中心となるだろう。さらに3階へ階段を上ると、そこには予想もしていなかったガラスのトンネルが突如として現れた。階段から部屋までを、脇の大きなバルコニーを眺めながらアクセスするというサプライズ演出となっており、室内にいながら日光をサンサンと浴びる気持ち良いアプローチとなっている。この演出には正直やられたといった感覚だ。奥の部屋は少々小振りだが、その分バルコニーが付いた、きっとみんなが取り合いたくなる気持ちの良い部屋となっている。
ベースは整っているのでこのままでも十分な空間だと思うが、手を加える事によってより個性を突出させる余地を多く残している物件とも言える。鋭い感性の集まるこの街で働くなら、働き方はもちろんのこと、空間にもエッジをきかせていって欲しい。大きな開口を目隠しせず、あえて室内、仕事風景を街にさらけ出せるようなカッコいい働き方をこの空間で行なってほしい。
EDITOR’S EYE
最近まで映像会社が使っていたようで、その名残か、壁の隅には多くの配線を通すスペースも確保されている。これをうまく使えば、映像系はもちろん多くの機器などを仕様する業種にも柔軟に対応出来そうだ。上下4層あるので、それぞれの層で空間のテイストを変え、気分によって働く空間を変えていくのももう一つの手なのかもしれない。