代々木オフィス・SOHO|石川素樹氏設計
EDIT
>>LOCATION
初台駅と参宮橋駅から徒歩7分。西参道交差点を少し入ったところに、鉄筋コンクリートの建物に木の籠をひっくり返して被せたような、特徴的な外観の建物がある。東京オペラシティやパークハイアットなど、ハイクラスを求める人々が集まる場所の麓にありながら、甲州街道を1本挟むことで、落ち着いた雰囲気の住宅街が広がるこのエリア。マンションが建ち並びやや雑多な印象の通りに、そんな雰囲気からは少々異質とも思えるオーラを放つその建物は建っていた。
>>SPACE
緑が植えられた路面店舗区画の間を通り奥へと抜けると、各区画の入り口が集まる中庭のようなスペースが広がる。今回ご紹介の区画はその一番手前の左手、店舗と隣接する区画だ。建物はスキップフロア仕様となり、1Fは玄関と靴箱と階段だけ。扉を開いた瞬間のインパクトには少々寂しさを感じつつも、空間に足を踏み入れた瞬間から上へと誘うように優しい木の香りが。床は無垢の杉材、壁にも漆喰を用いるなど、本物に拘った上質な素材が多用され、建築家 石川素樹氏設計のやや暗めな印象の空間には、意図的であろう陰影の仕掛けも見られ、木の香りと一緒に“大人の色気”まで漂わせていた。
>>WORKSTYLE
靴を脱いですぐに木製の階段を登り、靴下越しに感じる無垢材の感触や、漂う木の香りに包まれて、もうそれだけで気持ちが落ち着いていくのが分かる。この空間にソファがあればどれほど良いか。と、良質な空間を目の前にして勝手に自分が住む前提で妄想を広げてしまうが、ワークスペースとして使う場合も、人や物をあまり詰め込まずに、4、5人ほどで余裕を持った使い方をしたいところ。室内には段差があるためレイアウトには工夫が必要だが、机や椅子などの自分たちが日々使う物にも拘り、建物に見合った上質な素材やプロダクトで整えれば、より魅力的な空間となりそうだ。自分たちの世界観を作り上げ、維持しながら働くにはちょうど良いこのサイズ感。建物や空間を見習って、時には余裕を持ちつつ、クオリティに拘った働き方ができれば、素敵な時間を過ごすことができそうだ。
EDITOR’S EYE
建物のデザインにおいて重要な役割を果たしている木で組まれた外壁によって外の景色を楽しむことは難しいが、専有部には木の植えられた雰囲気の良い中庭もあり、この上質な空間でホッと一息つく時にも、有意義な時間を提供してくれそうだ。