広尾オフィス・店舗｜路面スケルトン空間

>>LOCATION
明治通りを恵比寿から広尾方面へ進むと、春には桜並木がピンクのトンネルを作るこの明治通りと並行に、細やかな渋谷川が流れている。現在はそのほとんどが人目につかず、地下を流れる水量の少ない川であるが、渋谷ストリームの開発によって、その一部が数十年ぶりに日の目を見て、話題になったことも記憶に新しいだろう。その渋谷川のすぐ傍に、一見すると駐車場の入り口のようなシャッターを閉ざしたこの物件を見つけた。

>>SPACE
シャッターを開けると、予想していたよりもはるかに天井が高く、奥に広がった洞窟のような空間。外観からの印象では、ガレージっぽさのある真っ暗な空間だと思っていたが、川沿いでスクスク成長した緑に隠れて見えなかった窓が思っていた以上に大きく、空間に仄かな明るさを持たせていた。”せーの”で引き剥がしたようなスケルトン空間は、設備さえも何もかも取っ払ってしまっているが、結果として退廃的な雰囲気を醸し出していて、奥の窓先のぼんやりとした明るさと緑によって、ノスタルジックな雰囲気さえ感じられた。
廃墟好きという個人的な趣味もあるが、恵比寿という都心に近い場所にこんな空間があるということに驚いただけでなく、一瞬で惚れてしまいそうな程の魅力溢れる空間だと感じた。

>>HOW TO USE
前面の道路は比較的車通りは多いが、1F路面で川沿いというロケーション、駅から比較的近い立地に加え、現状でも、十分、空間の雰囲気に惹きつけられる人は少なくないだろう。この空間を利用するにあたって、床壁天井を白く塗り、空間を整えて広さいっぱいに使うことも悪くはない。しかし、折角なら現状の空間の持つ魅力というところをうまく活かして利用してみてはいかがだろうか。現状のコンクリートむき出しの退廃的な雰囲気があるからこそ、借景のような窓先にある生きた緑とその先にある川というシーンがよく映えている。
この物件の魅力はスケルトンから作り込める自由さなんて領域にはいないのかもしれない。内装を作り込んだオフィスも悪くないが、都心部でこんなシーンを望める物件にはなかなか出会わないからこそ、このシーンに魅せられた人々が集まり、季節の移ろいを感じながらクリエイティブに働く。そんな働き方が似合う空間だと思った。

こちらの物件は飲食も可能な店舗・事務所物件であるが、坪単価は約20,000円(税抜)と1F路面としては比較的抑えめ。十分に事務所としての利用も検討できる設定になっているのは、長く入居して欲しいというオーナーの温かい心意気からとのことだ。