EDIT
渋谷から明治通り沿いを原宿方面に歩く。この区間の明治通りというと、ファッションストリートというイメージを持たれるかもしれないが、1階の店舗部分を除くと、通りの両脇に建ち並ぶビルには、様々な業種の企業が入居している。そんなエリアで、この最小限のリノベーションされた空間を見つけた。
外観は正直なところ、よくあるオフィスビルという印象の1972年築の建物。その5階部分が募集区画だ。取っ払われた天井高は約2.8メートル。照明ダクトレールやスポットライトは設置済みだ。むき出しになった梁と共に白色に塗られ、ざらっとしたいい風合いを感じる。床もモルタル風に仕上げられ、かつ余計なものは除かれた、品の良い空間だと思った。ポップな色使いでも、ナチュラルなトーンでも、何にでもはまる真っ白なキャンバスの様な空間だとも言えるだろう。そして、何よりのチャームポイントが、窓の外の揺れる緑。明治通り沿いの植樹が、この階の窓の高さを丁度良く覆っており、天然のブラインドの様な役目を果たしている。借景とまでは行かないが、このグリーンを室内まで取り込むようなインテリアを試してみたくなるのは私だけだろうか。残念ながら常緑樹ではないため、冬の期間は葉を落とす事になるが、それもまた風情として、都心での小さな四季の移ろいを感じながら働く、というのも、悪くないなと思った。
EDITOR’S EYE
ここから内装の改修は入れず、家具を入れるだけで、十分使える空間だと思う。その一方、リノベーションといっても、造り込まれ過ぎていない所もいいと思った。後はあなたらしさを加えるだけ、と言えるだろう。