中目黒オフィス・店舗|レンガ壁がある空間
EDIT
緩やかな傾斜地に住宅街が広がる目黒区東山エリア。その一画に、小さくともなかなか物件を見つけた。中目黒駅からは徒歩10分ほどで、山手通りから野沢通りを曲がり道なりに進むと、まもなくして頭上に交差する道路が現れる。今回の物件は、まさにその交差する橋の脇にあり、車ではぐるりと大回りする必要があるが、徒歩なら橋の下に階段があるので、そこを上れば目の前に物件が現れる。
程よく歳を重ねたレトロなマンション。その1階部分に、今回紹介する区画がある。建物とは表情の違うタイル調の外壁や、意図してなのか、「定礎」のサインが堂々と正面に設置されているシュールな姿がなかなか面白い外観。そんな見た目にも負けじと、室内にはさらに面白い空間が広がっていた。なにより目を奪われるレンガタイルの壁。良くも悪くも空間の印象をガラッと変えてしまう扱いの難しい素材ではあるが、この空間では抜群にその存在感が発揮されており、全体的に素材感や色のトーン、3面の窓先に映る緑などの色味がうまく混ざり合い、一つの気持ちの良い空間としてそこに存在していた。もう一部屋、このレンガ壁の裏に部屋がある。さて、そこにどう繋がるかというと、一つだけ明らかに背の低い小さな扉が見えるだろうか。いかにも不思議の国に続いていそうな扉。またはどこでもドア。ワクワクしながらその扉を開けても、もちろんなにも起こりはしないが、その代わりに縦長のバックヤードのような部屋が現れた。この部屋もまた使いやすそうな空間で、不思議の国のゲートでなくとも、実は専用の入り口のついた便利な部屋だ。どちらもシンプルな形をした無駄のない作りなので、面積以上に広がりある気持ちのいい空間だ。
一通り仕上げておきました!と言わんばかりに、空間としてはなかなかの仕上がり具合。レンガ壁に隠れているが、水回りも最低限しっかり整っており、その扉もスチール製の重厚感ある本格仕様。贅沢を言えば、照明だけ蛍光灯からもう少し色気のあるものに変えたいところだが、このままでももちろん悪くはない。机と椅子とパソコンを持ち込めば、すぐにおしゃれなオフィスの出来上がりだ。スピード勝負の物件なので、気になったらすぐ連絡を頂きたい。
EDITOR’S EYE
ほぼほぼ手を加えなくても良い空間。立地がもう少し人気のあるエリアならショップもありだろうが、正直人通りのない外れた場所にあるので、やはりオフィスがベターだろう。ちなみに天井高はスラブ下で2500mm、梁下で2000mmほどと高くはないが、不思議とこの空間の中にいるとそんな低さは感じず、圧迫感も感じないと思う。