北参道オフィス|建築家設計建物の居抜き空間
EDIT
>>LOCATION
場所は北参道。千駄ヶ谷方面へと続く道すがら、どの路地を覗いても大きさを問わず飲食店が多く点在し、ランチタイムは近くで働く人で賑わっている。近年は気になるコーヒーショップなどもオープンし、ゆったりと散策することも楽しめる様なエリア。今回ご紹介するのも、見た目にも美しい料理が人気を呼んでいる、評価の高いフレンチレストランが1Fに入居する建物。2010年にGOOD DESIGN賞を受賞した、コンクリートとガラスに包まれたこの建物を見つけた。
>>SPACE
建築家の木下道郎氏が手掛けたこの建物。募集のB1F区画は、2箇所の階段からの直接動線があり、そのドライエリアから差し込む光のおかげもあって、地下特有の閉塞感はあまり感じられない。寧ろ、その光が作り出す陰影が、この空間にキリッとクールな印象を与えていた。
室内は、以前の入居者の内装を残した居抜きの空間。コンクリートとフローリングという組み合わせによって、クールな印象の良さと温もりある居心地の良さを両立していた。そんな空間の印象の良さをさらに際立たせているのが、余計なものを極力省いてスッキリとしたベースの空間があるからではないだろうか。コンクリートの壁や天井を這うシルバーの配管やライティングレールには方向や間隔に統一感があり、なおかつ最短距離で必要最低限に設置されている。さらにエアコンも隙間なく天井にピタリと張り付いていることで、空間のサッパリとした印象をより強く感じさせていた。
本来はスケルトンでの引渡しになる予定が、雰囲気の良い内装と空調やレールの絶妙な配置が残され、そのまま引き継がれているのも頷ける空間だった。
>>WORKSTYLE
建築家設計の計算され尽くした様にスッキリとした空間。その意図を理解した様な内装も残され、雰囲気良く整った空間であれば、ある種どんな風に利用してもサマになってくれるだろう。しかし、この空間で働くなら、単純にデスクを並べるだけではもったいない様にも思えた。2箇所ある動線を利用し、道路側からの入口は来客用スペースとして。ギャラリーや美術館さながらに余白を持たせて家具やアートを配置し、もてなすスペースとしてみてはいかがだろうか。建物脇を進んだ、奥側の入口はスタッフ専用。配管などの縦のラインに合わせて縦長のデスクを配置して統一感をより強調してみるのも良いだろう。
無駄や余計なものを削ぎ落としたことで生まれるのは、洗練と余白。そんな風に余分をなくした空間で仕事に取り組み、洗練されたアイディアを創出し続けていって頂きたい。
EDITOR’S EYE
1Fのフレンチレストランは、食べログアワードにも名を連ねるほどの名店。目を見張るほどの美しい料理の数々は、毎日は難しくもこの空間で仕事に励んだご褒美にぜひ訪れてみてはいかがだろうか。