玉堤オフィス・倉庫｜天井高の開放的な空間

>>LOCATION
世田谷区玉堤。最寄り駅は大井町線の等々力駅といつもご紹介するエリアからはやや逸れてしまうが、何とも魅力ある建物を見つけた。渋谷駅から最短20分弱の距離にも関わらず、駅からの経路には等々力渓谷や等々力不動尊など緑の多さが際立つ。住宅街を進んで行き、多摩川の土手が見えてくるあたりにある今回の建物は、ザ・倉庫。幅の広い歩道を目の前にして、川沿いの独特の抜け感の元で堂々と迎えてくれた。

>>SPACE
1F・2Fを合わせ、168坪程の面積となる倉庫。4tトラックであればそのまま搬入も可能な入り口サッシの先には、天井高3.7m程の開放的な空間が現れる。鉄骨造のためRC躯体のような重厚感はないが、程よく経年を経た床・壁・天井からは何とも言えない味を感じる事が出来るだろう。脇にある階段を登った先には、古木調のフローリングが敷かれた2Fの事務所部分。小分けにされた空間がいくつかと、断熱材剥き出しの素材感あるスペース。天井部分の青い鉄板とダムウェーターの緑色は、意図したものではないだろうが、どこかポップな印象を感じてしまう。トイレ、ミニキッチンはあるが空調は無し。全体的な傷みや現状引渡しということを考えると、入居時の設備投資はある程度の想定が必要だろう。

>>HOW TO USE
物件のインパクトは強い。天井の高い開放的な空間、川沿いの独特のロケーション、広く開けた前面道路など、諸条件を組み合わせて考えてみると、最大の懸念材料になるエリアについても再考の余地はあるはずだ。建物用途としては倉庫となるので、利用に関しての法令的なハードルはあるが、ポテンシャルを活かしたスタジオでもショールームでも、もちろん素材感を活かしたアジトの様なオフィスでも。何でも出来る空間だからこそ、何が出来るか、この場所をどう生かすかについては、センスの発揮しどころだろう。思いつくばかりのアイデアを持って挑んで頂ければ、きっとこの建物はそんなチャレンジを、空間全体で歓迎してくれるはずだ。

都心部からそう遠くない距離にある倉庫物件。この空間にワクワクする気持ちを感じてしまうのは私だけではないはずだ。目の前の目黒通りには、川を挟んで反対側の川崎市との間を繋ぐ新たな橋の計画があり、建物前面の歩道の一部は道路として整備される予定とのこと。周辺環境は今後変わる可能性もあるが、そんなものにはビクともしない名物オフィスを作ってみてほしい。