神宮前オフィス・店舗|天井高 セミスケルトン空間
EDIT
神宮前駅を降り、渋谷駅方面へ明治通りを道なりに進むと、ちょうど渋谷駅との中間あたりにこのビルは現れる。細いペンシルビルが何棟か建ち並ぶ中の一つ。カクカクと幾何学的に折れ曲がる正面のガラス面が特徴的なモダンな建物で、単体のデザインは異色感を放ちつつも、かたや並びのビルとうまく調和していている姿が人間性のようなものもあってまたどこか愛くるしくも感じる。
今回ご紹介するのは、そんな建物の顔と言える路面部分と、最上階の4F部分。各フロアが40平米ほどとコンパクトな作りではあるが、天井高が3M前後と高めの設定なので、数字ほどの窮屈感は感じさせない空間だろう。B1と1Fはどちらも最低限の設備を残したスケルトン状態。なので、実際に使用する際は内装を作り込む必要があるが、使い方によってはこのまま荒々しい状態を活かした空間で整えてみるのも面白そうだ。路面からの直通のアクセスの利点を生かして、様々な使い方が想像できる区画と言える。4FへはEVで..。と、言いたいところだが、狭小の敷地のためにEVという贅沢な設備はない。よって4Fまでは回り階段のみのアクセスとなるが、ガラス面から望む移りゆく明治通りや日差しを浴びながら進む階段の為か、不思議とそれほど辛さは感じなかった。撮影時は工事中だったために写真はないが、4Fは下の階のようなセミスケルトンをベースに、新しい設備や塗装などできっちり空間を整えられた区画。いつでも始められるぜ!と言わんばかりに準備万端な区画となっている。
立地の良さや本来店舗をメインとした建物のため、空間の狭さのわりに賃料の設定はやや高めな面は正直感じる。しかし、物販はもちろん、飲食なども相談可能なことを踏まえると、使い方の幅は比較的広く持った物件とも言えるかもしれない。どのような使い方にせよ、このコンパクトな空間に溢れるアイディアをぎゅっと凝縮し、代わりに研ぎ澄まされた1点ものの空間を作り出してほしい。建物の形状のように、小さいながらも尖った世界観にて、周囲から一目置かれる存在を目指してみてはどうだろうか。
EDITOR’S EYE
タイミングが合えば上下セットなども可能なので、1業種に限らず、例えばカフェと物販を絡めるなども考えられるかもしれない。室内はうなぎの寝床のような細長いプランなので、単調な内装から脱するためには少々プランニングの工夫は必要だが、それが逆に突発的なアイディアにも変わるかもしれない。