千駄ヶ谷オフィス|建築家 山下和正氏設計デザイン
EDIT
>>LOCATION
千駄ヶ谷駅徒歩から徒歩数分。鳩森神社の緑を眺めながらRon Herman方面へ坂道を下る。道沿いには住宅・店舗・オフィスが入り混じるが、決してごちゃごちゃとしているわけでもなく、ごくごく自然に混じり合う雰囲気が心地良く感じる。そんな穏やかな環境にありながら、独特の出で立ちで存在感を主張する様な建物が目に飛び込んできた。
>>SPACE
この建物の設計は、みゆき通りのフロムファーストビルなどを設計した建築家山下和正氏。後から付け加えた様にも思える円柱部分と茶と黄のツートンの外観は、一度見れば忘れないほど強烈なインパクトだろう。ただ、円柱下の扉を開けた先に広がるエントランス空間は、奇抜さをリセットするかの様にクールな仕上がりとなっているのが面白い。
フロアは地下1Fから3Fまでの上下四層。B1Fと2Fはタイルカーペット敷きの事務所仕様。1Fはシャッターで外部と繋がる駐車場用途のコンクリートむき出しの空間、3Fは住居仕様で充実のキッチンのあるダイニングと壁一面を窓にしたリビングスペース。各フロアそれぞれが表情に富んでいるが、全体を通じてスマートで癖は少なく好感をもてる空間だ。
>>WORKSTYLE
建物前面のスペースには車も3台駐車可能。空間の構成も優秀で、バランスの取れた建物だと感じる。これだけのインパクトある建物であれば、外観のみの見掛け倒しにならぬ様、気合いを入れて室内のインテリアにも拘りを凝らしてみてほしい。奇抜な外観のイメージに捉われず、室内は拘りつつも敢えてスマートに使いこなす。オフィスも働き方も、見た目だけではなく、スマートだからということだけでもなく、その拘りから底知れぬ熱量を感じてもらえるような存在になれたら素敵だ。
EDITOR’S EYE
実はこの建物の外観は銀座数寄屋橋の交差点にある山下氏設計の数寄屋橋交番と色違いなのだという。交番の屋根につけられたオブジェに関しては、知る人ぞ知る面白い逸話もあるが、敢えて、同じデザインで建てられたこの建物は、やりきれなかった何かしらの思いを成し遂げるためにリベンジを決めたのではないだろうか、と勝手な想像を膨らませてみた。真偽のほどは定かでは無いが、そんな拘りとプライドの詰まった建物だと考えると、この建物への愛着もより強くなるのではないだろうか。