EDIT
今でこそ名前も変わったが、その昔この建物はコバモクという名前だった。三軒茶屋の茶沢通りから少し入ったところに、ちょっとした異空間が違和感なく街に溶け込んでいる。コバモクとは元オーナーの家具屋さんの名前だ。
元オーナーが家具屋というだけあって、この建物はたくさんの魅力を持っている。しかし年月が経つにつれ、その魅力が翳りの一途を辿っている頃、この建物に出会った。今から8年ほど前の話になる。
それ以来の付き合いの建物で、今までにこの可愛らしさを超える建物に出会っていない。2007年のリノベーション&コンバージョンによって息を吹き返したこの建物は、経年の雰囲気と華やかさを持ち合わせ、訪れる人を魅了している。ほぼ全ての間取りが異なる区画の床は、無垢のチーク材が共通で使われているのだ。
写真の区画は、この建物のメインでもある空間。その他の区画も負けず劣らずの魅力的な空間が展開されている。1階のスペースはショールームにも店舗にも使用でき、吹き抜けを介した地下には、地上からは思いもよらないほどの空間が広がっている。不思議なことに、あまり地下にいるという実感が湧かないのだ。ショールーム兼オフィス、スタジオなど、これまで多くのクリエイターに愛されてきたこの空間を、是非満喫してほしい。
EDITOR’S EYE
気取らず自然体で働いてみてはいかがだろうか。
この建物は気取ってはいない。素材感を主張せず感じさせてくれる建物。建物自体が自然体だ。
三軒茶屋からトコトコ歩き、オフィスに帰る。せかせかと働くのではなく、ゆったりと没頭できる空間に身を置く。静か過ぎる空間が苦手な方は、音楽も悪くない。隔離という表現はたぶん正しくないが、そう思えるほど自分たちの時間を楽しめる空間だ。