EDIT
ビルは四角いコンクリートの塊という固定観念を一切無くした個性的な外観。渋谷の道玄坂近くの円山町に、騒がしい街とは相反するようなアート作品ともいうべきこの建物はある。
玄関を入ると、期待を裏切らないほどの異次元空間が広がる。隅から隅まで真っ白な室内は、SF映画の1シーンに登場しそうな非現実的な雰囲気が漂う。
この繭型の建物には2つの区画が含まれているが、ひとつに繋げることも可能。その上、壁面は平面ではなく曲線を描いている為、設備の全居室共聴システムの音響がアートミュージアムを彷彿させ、まさに別世界といった空間である。
2つの空間を大まかに説明すると、大きな区画はひとつのらせん階段で貫かれており、4階の天窓から地下居室まで光が射し込み、天空からの光を思わせる。全ての居室が螺旋階段で繋がっている為、地下にも拘わらず居室にも開放感が感じられる。もうひとつのコンパクトな空間は、1LDK。開口部は少ないものの、独特な形状と空間が醸し出す雰囲気は、他の建物では決して味わう事の出来ない快感にもつながり、興味を抱く方は少なくないだろう。
正に異空間の一言。
その雰囲気をそのままに手を加えず使いこなしていただきたい。空間を音楽やその独特の雰囲気で演出し、誰かに見てもらう為のワークスペースにするのはどうだろう。アートオフィスという言葉が浮かんでくる。
オフィスの演出は、自分の働き方や仕事にも影響を与えるのではないかと思う。普通の働き方に疑問を感じている方は、是非チャレンジしてみてはいかがだろうか。
トリッキーな場所にあるトリッキーな建物。利用する方も遊び心際立つトリッキーな方であってほしい。
EDITOR’S EYE
こちらの建物、2004年のグッドデザイン賞にも選ばれた実績を持つ、名実とも兼ね揃えた実力派だ。建物のインパクトもステップにして、働き方はもちろん、自社のビジネスでも業界にインパクトを与える存在感を生み出して頂きたい。