EDIT
神宮前は好きだけど、原宿の雰囲気はあまり好きじゃない。物件を探す中で、エリアの趣向についてそう表現する人は少なくない。オフィスの立地としては、原宿だとちょっと若すぎる、といった印象が大方の理由のようだ。表通りは然ることながら、裏通りでも独特の文化を築いてきた明治神宮前・原宿エリア。この2つのエリアは括られたり区別されたり、境目が曖昧だったりする。しかし微々たる立地の差により、そこを歩く人やお店の雰囲気は確かに変わってくるからおもしろい。さて今回の物件は、明治通り沿い、竹下口の目の前にあるムラサキスポーツ裏の角地。裏原とも言えるが、目の前の道には落ち着きがある、まさに境界のような場所に位置している。明治神宮前駅から歩いて約4分、1F路面の半スケルトン空間をご紹介したい。
正面は全面ガラス張り。扉を開けずとも、晴れて光が反射しなければ中まで見渡すことができるコンパクトな存在。やや奥まった道のため、目の前を通りすがる人々の視線が気になる場面はそれほどないであろう。室内は、剥き出しの素地が粗々しく、洒落た黒枠の窓が空間を引き締める。このまま何も手を加えずに即スタートを切れる、とはいかないのがスケルトン物件の宿命だ。しかしここで朗報をお伝えすると、この物件には必要最低限の設備が前テナントの置き土産として残されているのだ。その土産とは、約2.8mの天井に、カスタマイズの幅を広げてくれるライティングレール、そしてエアコンに換気扇。何より、スケルトンと言えば水回りの造作に費用がかさむイメージがあるが、ここではその心配もひとまずいらない。可愛らしい薄ピンク色のレストルームが、こっそりと遊び心を効かせてくれている。ただし、現状キッチンはないのであしからず。
こうした粗々しいテイストが好きな方はなかなか多いと思う。しかしどこまでなら自分の手に負えて、どこを越えてしまうと手が及ばないのか、判断するのは難しいのかもしれない。スケルトンを選択肢に入れるのは上級者向けのような気がするかもしれないが、この物件に関して言えば、初めてのスケルトン、もっと言えば初めてのDIYにチャレンジするにはちょうどいい物件かもしれない。仲間内で有志を募り、根っからのDIY精神を発揮するもよし、ワークショップを開いて交流を楽しみつつ新拠点のお披露目会を兼ねるのもよし。自分たちのインスピレーションを吹き込む余地が与えられたこの空間を、新たなアイデアにチャレンジするための第一歩として検討してみてはいかがだろう。
EDITOR’S EYE
斜向かいには粋場という、普段はお酒とごはんを楽しめるスポットがある。おもしろそうなイベントをよく開催しているので、ランチや仕事終わりに立ち寄れば、新たなつながりも開けてプライベートも充実しそうである。