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青山骨董通り。かつて六本木と渋谷をつなぐ都電のルートでもあったこの通りは、太平洋戦争以後、骨董品店が集積したことからこの愛称で親しまれるようになったそうだ。骨董品店の減少とは対照的に、通り沿いにはトレンドを生み出すショップやサロン、近年では飲食店も増えており、多くの人を惹きつける感度の高いストリートへと姿を変えている。そんな骨董通りを端から端まで見渡せる、ナイスポジションなオフィスが募集を開始した。
通りに面してショーウィンドウが表情をつくる1,2Fに対して、少しセットバックした上階部分のてっぺんが今回の募集区画だ。鮮やかなブルーの扉を開けると、思いのほか開放感のある空間が広がった。隣接するビルよりワンフロア背が高いため、3面に設けられたすべての窓から光を取り込め、視線も抜けるのだ。骨董通りに面する窓の向こうでは歴史ある大型マンションが視線を阻むが、様々なオフィスの室内を垣間見られることは楽しみとも取れるかもしれない。さらに通り沿いに少し首を振れば六本木ヒルズやAoビルまで眺められる類い稀なポジションと言えるだろう。原状復旧工事を終えたばかりの室内はいわゆる一般的なオフィス仕様だが、例えば天井をスケルトンにして床材を変えるだけでも、窓からの眺望と相まって色気ある空間に生まれ変わることだろう。天井には空調機が収まっているため、天井材を撤去することで少なくとも30cm程は天高が確保できるはず。床はカーペットを剥がした後の状態にもよるが、モルタルやクリア塗装を施して荒々しく仕上げてみても良いだろう。水廻りが大人しく隅にまとめられた65㎡ほどの室内は、比較的自由度高くレイアウトを検討できるので、骨董通り側の眺望をメインに考えつつ思うままに想像を膨らませて頂ければと思う。
諸説あるが、骨董通りという名が広まったのは1980年代頃と言われている。一方この建物の竣工は1974年。骨董通りという愛称が生まれたその日から、この空間は通りの変遷を眺めてきたことだろう。性格が変わりつつあるこの通りは将来的に新たな愛称で呼ばれることもあるかもしれない。骨董通りの始まりから終わりまで、この空間から眺めてみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
ロケーションと眺望を考えるとエリア的には控えめな賃料設定と言えそうだ。このままでは魅力的とは言い難い空間だが、ぜひ自分好みにカスタマイズして、誰もが羨む空間に仕上げて頂ければと思う。