赤坂SOHO | 菊竹清訓氏設計のデザインSOHO空間
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>>LOCATION
かねてより高級住宅地と知られる赤坂8丁目エリア。坂の多い立体的な地形上に、大型の高級レジデンスや大使館なども点在し、所々に現れる品のある飲食店ののれんが、このエリアの品の良さを象徴しているように感じる。この建物があるのは、そんな豊かな住環境の一角。外苑前東通りから路地を入り、坂を下ったところにあるカンボジア大使館の向かいに、あからさまにデザイン性の高いこの建物が現れた。
>>SPACE
建物の設計は、著名な建築家である菊竹清訓氏によるもの。高低差のある角地という地形をうまく活かし、地下2Fから地上3Fまでの立体的なコンクリートの箱によって、独自の世界観を見事に作り出している。
ご紹介はその2F部分。道路から直接アプローチできる作りで、入口であるガラス扉の先には、アールの壁が描く、大きく吹き抜けた空間が現れた。率直な第一印象としては、ギャラリー空間のように思えた。天井高のある開放的な作りや大きな壁面、ハイサイドライトから射し込む程よい光。さらに風合いのあるフローリングや大きなガラスの回転扉なども備わっていて、まるでアート作品でも飾られていそうな雰囲気のある空間だ。このスペースに加え、奥には大小2つの個室や広めのバルコニーも備えられているなど、作りとしてはとても使い方のイメージが付きやすい。落ち着いた環境に位置しているため、室内はとても静かだし、窓面も多く、光も程よく射し込んできて明るい。全体的に穏やかな雰囲気が漂う、なかなかの居心地の良い空間だった。
>>HOW TO USE
一見スマートな印象を受けつつも、よくよく見ると、この空間には可笑しな点と言うか、ユニークなポイントが多い事に気づく。
そもそも路面に面しているのに2Fという階数表記や、個性的すぎる空間の作り。大きなガラスの回転扉は開けるたびにソワソワしそうだし、アールの壁に備えられた絵画もなかなかの謎。そして、上階へ繋がりそうで繋がらないフェイク階段、吹き抜けにある上階区画の窓、小さく細長な個室。終いには、住居要素は皆無なのに、エリアの性質上、契約は住居契約などなど。。とにかくツッコミどころが多い。もちろん悪い意味ではなく、これがある意味この空間の面白みでもあり、スマートさよりユニークさが魅力的である。そんな温度感にうまく共鳴できるような遊び心ある方々には、面白がって使って頂けるのではないか。そして来客者からも、御社は仕事もメンバーも面白いけど、働くオフィスもまたユニークなんですね?そんな言葉を受けられたらシメたものだ。
EDITOR’S EYE
元々この区画は、1つの大きなメゾネット空間を、上下で2区画に区切った模様。そのため、今も上階へ続く階段や吹き抜け部の窓が残されているが、扉は閉鎖され、窓にもスモークフィルムで目隠しされているから安心して欲しい。この階段に腰掛けて作業したり、大きな壁面を大胆にペインティングして彩るなど、個人的には色々とイメージができる空間だった。