EDIT
外苑前駅を降りて旧ベルコモンズの跡地から外苑西通りへ。そこからほんの少し入ったあたりは住宅がほとんどだが、所々にオフィス、カフェ、イベントスペースなどが多く建っている、神宮前アドレスでも落ち着いた雰囲気のエリアにこの建物はある。
やや個性的なコンクリートの建物の地下には、フランス料理の名店で経験を積んだ日本の若きシェフが腕をふるうレストランが入居している。そのせいか、全体的にしっとりとした佇まいで、格調の高さを表している。エレベータを上がって2階の扉が開くと、向かいのガラス窓から緑がよく見えて落ち着いた雰囲気が漂ってくる。
デザイン性の高い物件というのは、奇をてらったものが多いが、こういったオーセンティックなフロアにも正直好感が持てる。そのまま家具類を入れて、安心して仕事を始められる環境。静かで、落ちついていて、整っている。かといって、そこに全く計算がないわけではない。「機能美」という言葉がふさわしいオフィスである。
デスクに座って、時々ゆれる木々を見ながらパソコンをたたく。当たり前の作業を当たり前にこなせる空間を作る事が、デザインにとって大切な事なのだと気づかされる物件であった。
EDITOR’S EYE
機能の話しになるが、オフィスにはなかなかない収納が、ベランダの一部を改築して、全入居者によって作られている。そのままの利用も可能であるし、改めてベランダを広めに作り直す事も相談可能とのこと。