中目黒オフィス・店舗|路面区画 スケルトン空間
EDIT
中目黒駅前より山手通り沿いを徒歩数分。西郷山公園方面より続く野沢通りに折れ蛇崩方面へと坂を登り始めすぐ。駅前の賑わいを上手く躱した距離感で、それでいて人々の生活の匂いも感じさせるそんな場所にある今回の建物。新たな人の流れを作るだけの素地を十二分に感じる空間が明るく出迎えてくれた。
物件はマンション1Fの店舗区画。住居用入口隣りの専用エントランスをくぐるとまず目に入るのは、南側一面の開口部から射し込む明るい光。実はこの物件、建物密集地では珍しく2つの道路に挟まれており、1F区画にも関わらず明るさが室内にしっかりと届く。空間は以前の造作を撤去したばかりでコンクリート剥き出しの限りなくシンプル設えだが、空間内に設置された2箇所の木材を使ったアクセントウォールと南側の窓に用いられた質感の良い木枠が、無機質な室内と上手く混ざり合っており冷たい印象は感じない。窓から見える借景の様な植栽含め、この現状でさえ不思議な居心地の良さが感じられるだろう。
もちろん設備のない0からの状態であるので作り込みは必要だが、いっその事力を入れず、いや抜きに抜いて、この状態を活かしたワークスペースを完成させて欲しい。むしろワークスペースのみに留まらず、オフィス・ショールーム・ギャラリー、何ならコーヒースタンドも併設、なんて新しい活用方法に挑んでみるのも面白いかもしれない。独自のカルチャー性を増し始めた中目黒という場所であれば、そんな新しい試みも街に許容されるはず。立地・路面区画・居心地の良い空間のそれぞれを混ぜ掛け合わせる事で、可能性が何倍にも膨らんでいくだろう。何かが生まれる場所というのは、この空間の様に色んな可能性がMIXされた場所なのかもしれない。
EDITOR’S EYE
以前は建物向かいにあった結婚式場のサロンとして利用されていた空間との事で、その内部に流れる雰囲気の良さにも納得がいく。数々の人生の門出を祝ってきたこの空間で、新たな試みのスタートを切ってみてはいかがだろうか。