北青山SOHO|天井高 メゾネット空間
EDIT
>>LOCATION
背丈の高いビル群に、多くの有名企業がオフィスを構える青山一丁目。土地柄、どちらかと言うとベーシックなデザインのビルが多いこの通りだが、その中に一風変わった表情をした建物が建っている。周囲のモダンなビルに比べると、一世代前の貫禄すら漂わす重厚なデザインの建物。しかし、その古き良きモダンな面立ちは、この通りの中ではどこか新鮮にさえ感じさせてくれた。
>>SPACE
今回紹介するのは、同じ建物の中でも青山通りに面する正面側の部屋に比べ、通常なら’ハズレ’とも思われがちな建物裏側に面する区画。しかし、扉を開けてびっくり。そこにはなかなか感じのいい空間が現れた。2層分の大きな吹き抜けのあるメゾネット空間で、コンクリートの重厚な壁と、大きな窓面が織りなす解放的な空間。これはこの建物の特徴的な作りでもあり、区画によって少し作りや仕様は異なるものの、その空間の質は一貫して保たれている。その中でもこの区画に惹かれたのが、その窓面から望む景色。7Fの角部屋という事もあり、窓面からは外苑のイチョウ並木を眼下に望むことができる。恐らく隣の部屋からでは見渡すことができない、この区画だけに許された特別な眺望だろう。眺めという面では、建物正面側のスター区画よりこの区画に軍杯はあがりそうだ。また、北側なので直射日光は差し込まないものの、その分日中は常に安定した光が室内を満たし、ブラインドなどで光を遮る必要がないので、常に窓面を全開に明け放つ事ができる。日本では南窓を好みがちだが、北欧では逆に北窓を好むという。この空間に入った時、昔聞いたこんな言葉を思い出し、その静かな光で満たされた空間にいると、どこかその理由もわかった気がする。
>>WORKSTYLE
室内は住居仕様なので水回りなども大きく、正直有効スペースと考えるとそれほど人数を収容するのは難しいかもしれない。少し余裕を見ても、6人前後と言ったところか。かたや、玄関から直通で上階にアクセスもできるので、オフィスとしての使い勝手は悪くなく、また、上階はキッチン以外の水回りが集約されているので、実際に住みながら働くSOHOとしての使い方も割とリアリティーのある作りだ。いわゆるオフィス空間というよりかは、もう少しアットホーム感のある少人数制に適した空間。騒がしい246側に対し、落ち着いた静かな光で満たされるこの空間では、ただただ風景を眺めながらゆったり働けそうだ。そんな働き方を求めている方がいれば、一度この空間を体感してみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
店舗ではないが、1Fにはポールスミスが入居しており、その事でより建物の印象も引き上げられているように感じた。ベーシックなPタイルや、石組み調のクロスなど、少し好みが分かれてしまいそうな内装なので、長期目線でガラッと内装に手を加えて、より理想的な空間に仕上げてしまうのもよいかもしれない。